緩和ケアに関わる医師であれば、チーム医療の中で期待される主な役割は、
診断と薬物療法、腹水穿刺などの介入ですね。
この本は緩和医療業界の第一人者である森田先生が、
臨床と研究者としての豊富な経験から薬物療法についてまとめた本です。
ちなみにこのシリーズは有名ですね。
私が一番最初に読んだこのシリーズは、感染症に関するこちらですね。
医学部6年生の頃に読んだ初版は今でも持っています。
知らない間にver.4になってました。
岩田先生・・・さすがですね。
最近では、こんなのも出ました。
心不全の緩和ケアに緩和ケア医なら、読んでみても良いと思います。
どんな本?
この本は緩和ケアに関連する薬物に対して、森田先生の思考を垣間見ることができます。
緩和ケアに関する本は増えました。
マニュアル本も増えてきたので、「神経障害性疼痛=プレガバリン(リリカ®︎)」みたいな、
1対1対応に基づく診療は初心者でもできると思います。
でも、そのプラクティスの根拠は知ってますか?
プレガバリン(リリカ®︎)でどの程度痛みが軽減することを期待して処方しているの?
こんな質問に答えられるような勉強をするかどうかが、
初心者と専門医のギャップを埋めるポイントかなと思います。
この本は、薬物療法におけるこのギャップを埋める上で、非常に良い本です。
どんな人にお勧め?
将来、緩和医療認定医/専門医を目指す方には、マストの本でしょう。
初期研修医/専攻医の先生方で、緩和ケアのローテートなどで、
緩和治療薬について集中してインプットしたい方にもお勧めです。
ちなみに付録には、日本で最初に緩和ケア病棟を開設した、
森田先生のおられる聖隷三方原病院のオーダー/指示セットが記載されています。
緩和ケアに関わる専門家は、部門運営も役割として担うことが多いので、
これは助かりますね。
私は緩和ケア病棟を立ち上げる際、筑波メディカルセンター病院の先生方にお願いして、
見学させてもらいました。
当時はこの本がなかったので、筑波メディカルセンター病院の指示セットを一通り、
メモして帰ったことを思い出しました。
勉強になったことは?
一つ一つのプラクティスの背景にある知識や、マニュアルを超えたひと工夫を学ぶことができます。
こういった知識を持って臨床をすることで、より質の高い緩和ケアが提供できると思いました。
また臨床に生かせる臨床研究をする上で、この本を読んで臨床疑問を考えるのはオススメです。
編集長の独断評価(5段階)
- 初心者向け:★★★☆☆
- 臨床向け :★★★★☆
- 研究向け :★★★☆☆
- 教養度 :★★☆☆☆
- コスパ :★★★☆☆
まとめ
森田先生と会話しながらそれぞれの薬について学ぶ本です。
ここ数年で新薬も出ているので、ver.3も出るのかな?
今度聞いてみよ〜