オススメの本

緩和ケアの壁にぶつかったら読む本  西 智弘 

若手緩和ケア医のムーブメントを起こし、そして今も幅広い活動で輝いている西先生の

数ある書籍の中で、私が最も影響を受けた本です。

非常にユニークな切り口で緩和ケアを学ぶ人の悩みにズバッと刺さる本を企画し、

言葉に落とし込む西先生に脱帽した記憶が今でも蘇ります。

どんな本?

10年前のWAGI

緩和ケアを勉強しているけど、本当にこれでいいんだろうか?

患者さんに良いケアを提供できてるんだろうか?

緩和ケアをある程度実践していると、こんなふうに「壁」を感じる方は多いと思います。

この本は緩和ケアを学び、実践する人の多くが直面する悩みを「壁」として、

その壁の本質的な問題を整理し、西先生自身の考えを教えてもらえる本です。

こんな壁について述べられています。

  1. 医療の呪縛という「壁」
  2. 「いい死に方」にとらわれる「壁」
  3. 哲学の難しさという「壁」
  4. エビデンスがない治療に直面する「壁」
  5. 意思決定をする時の「壁」
  6. 早期からの緩和ケアの「壁」
  7. 緩和ケアにおける医療安全の「壁」
  8. バーンアウトの「壁」

いや〜、書いてると、また読み直したくなってきました。

緩和ケアやってる人なら、どの壁に対しても「そうそう、その壁辛かったなぁ」

遠い目をしてしまうのではないでしょうか?

どんな人にお勧め?

いままさに壁にぶち当たっている方

壁に直面しているメンバーを支援・指導する立場の方

に是非お勧めしたい本です。

勉強になったことは?

壁に直面した時にとる行動によって、学べることやその後の成長に変化があるのだと思います。

でも壁にぶつかっている真っ只中で、当事者になると、

自分が何に困っているか、どうしたいと本質的には思っているかといったことを、

自分自身で見失ってしまいます。

一歩引いて、「そもそも」に立ち返り、一人で、もしくは仲間と振り返ることなどが必要です。

その振り返りの質を高めるために自分のぶつかっている壁を言語化しながら、

周辺知識をインプットすることを続けようと思えました。

もう一つ、伝えておきたいことがあります。

この本は「maggie’s tokyo project」の理念に賛同し、

その活動を支援するため売り上げの一部を

同プロジェクト(現在は認定NPO法人マギーズ東京)に寄付しています。

発売された2016年当時、このような取り組みをしている本は見かけませんでした。

この辺りも西先生の先進性を感じさせます。

認定NPO法人 マギーズ東京

当ページでは、JavaScriptを使用しております。ご使用のブラウザのJavaScript機能を有効にして、ページを再読込してください。 新型コロナウイルス対策:みなさまに安心してお越しいただけるよう、しばらくの間、センターへのご来訪前に ご連絡をお願いしています。また、 お電話やメール 、オンラインでもマギーズ東京の看護師・心理士とつながることができます。 …

編集長の独断評価(5段階)

  • 初心者向け:★★★☆☆
  • 臨床向け :★★★★★
  • 研究向け :★☆☆☆☆
  • 教養度  :★★★☆☆
  • コスパ  :★★★★☆

まとめ

緩和ケアの学び、実践を初めてしばらくたった方は読んでみましょう。

自分のぶつかっている壁の正体に気付けるかもしれません。