FAST FACTsに聞いてみよう!

FAST FACTsに聞いてみよう! #401 重篤な疾患に対するTime-Limited Trial(TLT)②

Time-Limited Trial(TLT)について、

FAST FACTsに聞いてみた続きです。

FAST FACTs #401 Time-Limited Trials for Serious Illnessからです。

TLTが適切な状況

どんな時にTLTを検討するのが良いのでしょう?

FAST FACTsでは次のように書かれています。

TLT は、侵襲的な介入の結果や潜在的な利益が不明確な状況で、

家族や医療チームが複雑な治療法を決めるために、

より多くのデータが必要な場合に利用されるべきである。

なるほど〜

WAGI

医学的介入の結果やメリットがわからない時に、

検討するやり方なんですね〜

TLTに取り組むことで、

難しい決断を下すための判断材料が増え、

医師が医療上の意思決定の指針となる患者の希望や価値観を、

よりよく理解することを可能にするかもしれない。

と強調されています。

家族との話し方

とはいえ、実践する際は家族との対話も重要です。

そして、

WAGI

それがなかなか難しいんだよなぁ〜

というわけで、FAST FACTsのアドバイスを聞いてみましょう!

家族とどのように話すか?
  1. 決断の不確実性と困難さを認識する
    患者さん/代理の方の人生で最も困難な時期かもしれないが、その根底にある感情に対応する。「お父様の病気を目の当たりにして、将来がどうなるかわからないことがどれほど辛いことか想像できません。」
  2. 患者の目標、価値観、優先順位を探る
    どのような結果が受け入れられるのか、受け入れられないのかを明確にする。「この状況下で、あなたのお父さんにとって何が一番大切なのでしょうか?」
  3. 特定の介入の TLT を提案する
    患者の具体的な目標(例:延命、機能/精神状態の改善、安らかな死の実現)を達成するための TLT を提案する。「医学的に投与された栄養剤を試して、それがご本人の目標である「強くなる」に合致するかどうかを確認することは有用かもしれませんね。」
  4. 改善または衰退の臨床的マーカーについて交渉する
    何を持って「うまくいった」とみなすかは、患者または家族の価値観および検討されている介入に基づいて、患者または家族と調整すべきである。これらの結果は、患者さんとご家族が識別できるものでなければならず、関係者全員が何に注意すべきか、何が改善(例:目が覚めた、機能的になった)や減少・負担(例:眠くなった、痛みが出た)を決定するのかを知ることができるように、明確に伝えられるべきである。 「お父様にとって自立することは大切で、自分のことは自分でできるようになりたいと思っておらたのですね。そして経管栄養がお父さんの体力を高め、その実現に役立つと考えておられるのでしょう。一方で、もしお父様がもっと混乱したり、病気になったりしたら、経管栄養はお父様の助けにならないのではないかと心配しています。そう聞いて、どのように感じられましたか?」
  5. 治療の効果を評価するための具体的かつ医学的に妥当な期間を調整する
    多くの場合、治療の最適な期間は不明であり、基礎疾患や特定の症状に依存する。脳卒中後の人工呼吸、がん患者のクリティカルケア、虚弱者のための透析試験など、一般的に遭遇するシナリオについて、専門家の意見に基づいた合理的なTLTを提示する。関連する臨床家や専門家から専門家のコンセンサスを得ることは、最も合理的な時間軸を特定するのに役立つ。
  6. TLTの中間および/または終了時にフォローアップの面談をし、治療の経過や、次のステップについて話し合う
    これは、臨床家と患者またはその家族が、物事がどのように進んでいると感じているか、もし変更すべきことがあれば、それについて話し合う機会となる。「2週間の経管栄養で、体力と体重の増加がいくらかあることを期待しています。2週間後に会って、彼の様子を見てみるのはどうでしょうか?何か新しいことが起きれば、もっと早く話し合いましょう。」
  7. 期間限定の試験が終わったときの潜在的な行動について交渉する
    定義された目標に基づいて、治療を継続するか中止するかなど、次のステップを決めめる。治験中の時間は、治療効果に関する情報だけでなく、家族や患者さんが難しい情報を処理したり、状況に応じて生命維持のための治療を中止する準備をしたりするための貴重な時間となる。「あなたは、お父様が許容できるQOLとは、自宅で自立していることだとおっしゃいましたが、お父様は一生チューブにつながれることを望んでいないかもしれません。 私はこの経管栄養がお父様の目標達成するのに役立つかもしれないと感じる一方で、数週間経っても進展がなければ、再評価して、チューブを外して、快適さに主眼を置いた治療を行うという選択肢を検討すべきだと感じています。それは彼がそのような状況を望んでいるように思うのですが、いかがでしょうか?」
  8. 話し合いを記録する
    誰が出席したか?どのような情報を話し合ったか?TLTを行う理由は何か? 成功の基準、TLTの期間、TLT終了時の潜在的な行動について何を取り決めたか?これらの重要な要素を明確に記録することで、ケアの移行や引き継ぎが発生した際に、他の臨床家の指針となる。

再評価する

TLTを行い、結果的にどうだったか?を再評価します。

ここは、

WAGI

医学的にどうだったかはもちろんですが、

関係者がどのように感じ、

どのようにしていきたいと思っているか、

評価することがポイントです

WAGI的には

まあ、FAST FACTs的には、

TLTの成功または失敗に対する患者・家族の視点を評価する。
「2 週間経ちましたね。 お父様の様子はいかがでしょうか?私たちは、成功とは、お父さんが自分の身の回りのことができるようになり、体重が増えることだと言いました。これらが良くなったと思いますか?」

といった感じで記載されています。

WAG

長かったけど・・・具体的にどうすればいいの?

ってよく聞かれるところなんで、

がんばりましたよ〜

見にくさは目をつぶってください

まとめ

このトピック、長かったですね〜

決して万能のやり方というわけではないですが、

臨床現場での悩ましい判断に対して、

参考になるやり方かと思います。

(アイキャッチ 画像:PACUTASOより引用)