FAST FACTsに聞いてみよう!

FAST FACTsに聞いてみよう 患者が治療を拒否するときにすべきこと その2

患者さんが、提案した治療を受け入れない時、

何を考えるべきか?

引き続き考えていきたいと思います。

こちらの続きになりますので、

まだ読んでない方は読んでから、読み進めてみてください。

FAST FACTsに聞いてみよう 患者が治療を拒否するときにすべきこと その1|緩和ケアに役立つあれやこれ〜緩和ケアの学び方ソムリエが送る耳より情報〜

臨床をやっていると、それなりの頻度で遭遇する、 なんて言われちゃうことも、そこそこありますよね。 なんて陰性感情に細なわれる医療者も、 時々見かけます。 てか、私もそこそこ、そんな感じでした。。。 こういった状況にどのようにアプローチすれば良いのでしょうか? FAST FACTsに聞いてみました。 FAST FACTs #56 What to Do When a Patient Refuses Treatment からになります。 生命倫理の大切なコンセプトとして、 以下のものがあります。 判断能力のある成人は、 医学的に妥当で有益な治療であっても、 その治療を拒否する権利がある 言われてみたら、当たり前かもしれませんが、 こういった感情が難しいのは、 「患者さんのために!」と言う思いが強いほど、 提案した治療が受け入れられなかったときの、 感情的な反動が大きいことだとお思います。 まずは、この自己決定権の大前提を踏まえて、 語論していく必要があるのですね。 頭に「?」が浮かんだ方も多いかもしれませんね。 でも、これ、意外と大切なんですよ。 どう言うことかと言うと、 を区別しましょう! と言うことなんですね。 これ、見た目は、 なので、同じように感じられてしまいます。 でも、現象として全く一緒でも、 その現象を生んでいる根底にある要因や構造、 そして必要なアプローチが全く異なるのは分かりますよね。 でも、この理由を考えるって、実践すると難しいんですよね。 若手の先生と話していると、 すでに陰性感情を抱いて、理由に目が向かない 医療者側の価値観(例:医師の指導には従うべきだ) 患者の健康問題に良い介入したい!という思いが強すぎる 医療者自身が疲弊している パッと思い浮かぶのがこの辺でしょうか。 治療の拒否をする患者に対するアプローチを、 FAST FACTsに聞いてみました。 次回、もう少し具体的なアプローチについて聞いてみましょう。 この辺りの知識については、この本もおすすめです。

こちらのFAST FACTsを参考にしています。

FAST FACTs #56 What to Do When a Patient Refuses Treatment

相手の話を理解する

ここで耳の痛い一言がありました。

患者さんの考えを変えようとする前に、

患者さんやご家族の話を理解するようにしましょう

いや〜、ほんと、その通りですよね。

時間がないとか色々言い訳しながら、

ぶっちゃけ時間があっても話を理解するようにしてないシーンも・・・

WAGI

大切さはわかっていても、

できないことの代表!

みたいなことですよね

FAST FACTsのアドバイスとして、

患者・家族の決断に対する医療者の態度を保留する

できるだけオープンに、偏見を持たず、決断の理由を尋ねる

質問例:「あなたの意見について、もう少し詳しく教えてもらえますか?どう言った事情で、そう言った結論に至ったのでしょうか?」

難しいですけどね。

個人的には、

WAGI

自分は自分の偏見をから相手を見て、判断している

これを理解することが、最初の一歩と思います。

懸念を確認する

意見の相違に対して、医療者が説得・納得を試みようとする構図になると、

背景にある患者・家族の懸念の存在を忘れてしまうことがあります。

その結果、

自分の意見は聞いてもらえないんだなぁ

と感じさせてしまいます。

それに対応するため、FAST FACTsで紹介されているのは以下の通りです。

きちんと話を聞いていると感じてもらえる反応を示す
例:お話からは、あなたは手術を受けると〜〜〜になるのではないかと心配されているんですね

相手の懸念を理解したことや、奇妙に感じていないことを示す
例:「〜〜〜を不安に感じることは、決して珍しいことではありませんよ」

こういった配慮を無意識にできる人も多いんでしょうが、

苦手な人は少し意識してみましょう!

恐怖心を探る

ここで登場したパワーワード:恐怖心

FAST FACTsは恐怖心について、

「恐怖心は、ポジティブな誘導よりも、強い動機となる」

WAGI

治療のメリットを伝えても、背景に恐怖心があったら、

その治療を受け入れる気持ちにならないのですね

このポイントに対して、配慮するようなアプローチをしましょう。

あなたの提案に対する患者さんやご家族の恐れや不安を理解するように努める
例:「 治療の説明について、何か怖いことがあったら教えてください」と尋ねてみる

Win-Winの関係を築く

相手を理解し、懸念を共有したら、

最後は、お互いが大切にしていることを実現するために、

対話をしながら落とし所を探ります。

FAST FACTsでは、

Negotiate so both of you can achieve what each of you care about the most.

と表現されていました。

患者さんとnegotiate(交渉)するというニュアンスは、

日本であまり見かけない表現なのも興味深いですね。

まとめ

臨床実践を通じて、だれもが経験する状況。

こうやった考えてみると非常に奥が深いですよね。

是非この機会に振り返ってみていただきたいですし、

皆さんの意見もコメントいただけましたら幸いです。

自分の偏見に気づくためにおすすめの漫画

今回のような話は、医療を通じてはもちろんですが、

WAGI

社会福祉士の勉強で気づかされることも多かったですね

福祉の勉強を一からするのはもちろん大変ですが、

ライトに学ぶ上ではこちらの漫画がおすすめです!

福祉を学びたいあなたへオススメの漫画 健康で文化的な最低限度の生活 柏木ハルコ|緩和ケアに役立つあれやこれ〜緩和ケアの学び方ソムリエが送る耳より情報〜

このブログ初の漫画の紹介です。 この漫画知ってますか? 実はドラマにもなったんで、結構有名だと思うんですが、、、 この本、社会的に様々な境遇に置かれた方の状況や、 その支援をする方を理解する上でピッタリの漫画です! 生活保護受給者の支援をする、 ケースワーカーの女性が主人公のお話です。 各ストーリーで、登場する、 生活保護受給をしている人々が、 それぞれの物語を紡いでいます。 色々あるんですが、今でも思い出す、 印象深かったセリフを紹介しましょう。 この方、大変な状況で、福祉的なサポートがあって然るべき状況にも関わらず、 上記の発言です。 これ、 スティグマの話 ですね〜 公的扶助に議論で出てくる論点の一つです。 もう一つ、ちょっと長いのですが・・・ 主人公の指導役のケースワーカーの半田さんのセリフです どんな温厚な人でも尊厳を侵されれば怒ります。 仕事を失う、病気になる、お金がなくなる、 そういったことで人の人生の選択肢はどんどん少なくなります。 でもどんなに選択肢が少なくなっても、 時には全く選択肢がないような状況でも、 その人の生き方を最終的に決めるのは本人です。 ・・・基本的にはね。 本人の意志を無視して、 こちらの都合で無理やり動かそうとすれば 人は当然怒ります。 どんな人にもその人なりの「都合」があります。 人は自分の「都合」でしか動きません。 その「都合」を知るには まず相手にしゃべってもらわないと・・・ そのためにはこっちにも 「聞く準備がある」と示す必要がありますね。 ま、以前も言ったとおり、 『相手の話を聞く』 まずはそこからです。 このアドバイスに対して、主人公は・・・ 緩和ケア的にも、非常に学びになる深いセリフと思います。 ちなみに半田さん、8巻の表紙を飾っています! 緩和ケアの実践や、 様々な状況にいる人を理解するために、 ぜひ読んでもらいたい漫画を紹介しました。 ゲラゲラ笑うような漫画ではないですが、 医療を通じて社会のいろんな側面に直面する うえで、 めちゃくちゃオススメです〜