悪性腫瘍による創傷に対応することが時々あります。
見た目も痛々しいし、もう少しなんとかうまく対処できないかなあ
なんて思った経験から、FAST FACTsで復習してみました。

今回はこちら(FAST FACTs Malignant Wounds #46)になります。
悪性腫瘍による創傷(Malignant Wounds)って?
皮膚癌や皮膚転移、体表に近いリンパ節転移などにより、
腫瘍が体表面に露出してしまうことがあります。
難治性の創傷として、対応になかなか苦慮します。
実際にみたことがない方は、「malignan wounds」と検索してみましょう。
多くの画像が出てくると思います。
- 滲出液、におい、痛み、出血によりQOLが大きく低下する
- 血管新生、壊死、炎症の組み合わせにより、自壊した解放創が形成される
- 最終的に治癒を期待できるかをアセスメントし、介入の目標を考える
- ドレッシング材の選択などは、褥瘡と一般的に同じ
(FAST FACTs #46 Malignant Woundsより引用、意訳)
滲出液
創部からの滲出液は、周囲の皮膚にも刺激になって、
さらに不快な症状の原因になりますよね。
- 滲出液が正常組織を痛めたり、衣服や寝具を汚染することを防ぐよう介入する
- 吸収性の高いドレッシング剤を使用する
- アルギン酸塩を使用したドレッシング材は止血作用を持ち、吸収性も高い
(FAST FACTs #46 Malignant Woundsより引用、意訳)
ドレッシング剤は種類も多いので、
使い分けなどを詳しい看護師さんに聞くと良いですね
感染
創部が感染すると、においや痛みの増悪などにつながります。
どのように対応すればよいのでしょう?
- 嫌気性菌や真菌による表層感染のリスクが高い
- 膿性の滲出液と臭気がある際には感染を疑う
- 感染が表面的な場合は、局所治療(メトロニダゾール、スルファジアジン銀)
- 深部組織の感染が疑われる場合はメトロニダゾールの全身投与を考慮
- 傷が治癒しないと判断した場合は、ポピドンヨードを使用しても良い
- ポピドンヨードは細胞毒性があり、正常の肉芽組織を障害するので、
治癒が期待できる感染創には使用しない
(FAST FACTs #46 Malignant Woundsより引用、意訳)
スルファジアジン銀=ゲーベン®︎
におい
悪性腫瘍による創傷(Malignant Wouds)は、
創部から強いにおいがすることも多く、
患者さん自身も気にされていることが多いですね。
どのように対応するえば良いのでしょう。
こんなコメントがありました。
- 猫砂や活性炭といった臭気吸収剤をベッドの下などに設置する
- 活性炭を使用したドレッシング材も使用できる
- ろうそくの炎を部屋に置いて、においの原因となっている化学物質を燃焼させる
- 酢やバニラ、コーヒーなどに他のにおいがするものを設置する
- 香水や芳香剤は、患者が好まないことが多いので避ける
(FAST FACTs #46 Malignant Woundsより引用、意訳)
どうでしょう?
ろうそくの炎というのは初めて聞きました。
効果はどうなんでしょう?
病院で勝手にやったら、看護師さんに怒られるでしょうね・・・
出血
悪性腫瘍による創傷部は組織が脆くなっていたり、
血管が露出しているといったことから出血しやすいです。
いつか出血するかもしれない・・・
そんな思いで過ごすことの辛さを話されていた患者さんもいました。
- ドレッシング材を引き剥がす際に出血しやすいので注意
- メッシュの合成ポリマー、非粘着性、非粘着性のドレッシング材が創傷面を傷つけない
- 出血に対しては、アルギン酸塩ドレッシング剤、局所低用量(100U/ml)のトロンボプラスチン、硝酸銀、焼灼などで止血する
(FAST FACTs #46 Malignant Woundsより引用、意訳)
まとめ
FAST FACTsに聞いてみようシリーズ。
今回も勉強になりました。
今後も定期的に聞いて行きます〜
(アイキャッチ 画像:PACUTASOより引用)