「Kennedy Terminal Ulcer」って聞いたことありますか?
FAST FACTs #383 Kennedy Terminal Ulcerを読んでみましょう。
Kennedy Terminal Ulcer (KTU)
最善の予防措置を講じたにもかかわらず、
死に至る過程による皮膚機能の低下のために生じた皮膚の皮膚損傷
と説明されています(1)。
1989年に発表されたそうです。
ちなみにもう10年近くなりますが、
私が緩和ケアの勉強を始めた頃、
米国の緩和医療専門医の取得を目指す人向けの問題集を解いていました。
その時にこのKTUが出てきて、
へ〜、こんな概念もあるんだ〜
と思ったものでした。
KTUの特徴
通常の褥瘡は約5日程の時間をかけて発生しますが、
KTUは数時間!で発生・出現することがあるそうです(2)。
う〜ん、これはそうなのかな・・・
通常の褥瘡の発生も数時間で発生することもあるような・・・
だから入院患者の体位変換って2時間おきにしてるんだと思ってました。
誰か教えてください・・・
まあ、通常の褥瘡よりは短い時間で発生する懸念はあるという理解をしています。
KTUへの対応
一般的な褥瘡予防や治療をしても生じる皮膚障害なので、
基本的には「こうすれば防ぐことができる」なんてことはないですよね。
とはいえ、きちんとなすべきことが取り組まれているか?という確認は重要と思います。
- 許容範囲内で2時間ごとに寝返りを打つ
- 骨隆起上の皮膚を乾燥させ、清潔に保つ
- ハイスペック(立方体、ソフト、または圧力再分配)のフォームマットレスなどの圧力緩和装置を使用する
- ベッドの頭が高くなったときに仙骨にかかる力を軽減するために、膝の下に枕を置く
- 圧迫を軽減するドレッシング(メピレックスなど)を使用すること
この辺りは看護師さん達がいつも丁寧に対応してくれていますよね。
じゃあ、KTU特有の対応はなにでしょう?
FAST FACTsでは以下のポイントが書いてありました。
介護者に精神的なサポートを提供し、KTUに関する情報提供を行う
非常に緩和ケアっぽいアドバイスですね。
KTUの発生は急激なので、介護者によってはその皮膚の兆候を見ると、
介護放棄や虐待の兆候ではないか?
こんなケアしか提供されていないといった罪悪感、不信感、怒り
といった感情を抱く懸念があるそうです。
残された時間が短くなっている兆候の可能性もあるので、
介護者と話し合うタイミングと捉える必要がある兆候ですね
まとめ
KTU、現象としては知っていても、
その名前は知らない方が多いと思います。
終末期の褥瘡は予防や治療と、本人に不快となる体位変換などの介入とのバランスを、
みんなで話し合うことが大切ですね。
(アイキャッチ 画像:PACUTASOより引用)