FAST FACTsに聞いてみよう!

FAST FACTsに聞いてみよう! 心不全の緩和ケア#144

心不全の緩和ケアは近年、非常に多くの場面で議論されるようになりました!

こちらの本を読んで頂くと、

心不全の緩和ケアの現状などについてよく分かるかと思います。

というわけで、FAST FACTsにも心不全の緩和ケアにについて聞いてみました。

FAST FACTs #144 Palliative Care Issues in Heart Failureです。

WAGI

いつもお世話になってます!(無料で)

背景

心不全患者さんの直面する苦痛はどのようなものなのでしょうか?

FAST FACTsでは心不全患者の症状の有病率を示しています。

心不全患者の症状有病率

疼痛(78%)、呼吸困難(61%)、抑うつ(59%)、不眠(45%)、食欲不振(43%)、不安(30%)、便秘(37%)、吐き気・嘔吐(32%)、その他(疲労、歩行困難、浮腫)

FAST FACTsには出典は明記されてませんでしたが、

この論文なんか参考になります。

Are there differences in the prevalence of palliative care-related problems in people living with advanced cancer and eight non-cancer conditions? A systematic review – PubMed

There are commonalities in the prevalence of problems across cancer and non-cancer patients, highlighting the need for palliative care to be provided irrespective of diagnosis. The methodological heterogeneity across the studies and the lack of non-cancer studies need to be addressed in future resea …

WAGI

疾患に限らず、苦痛は和らげたいですよね〜

症状緩和

症状に対する記載をまとめてみました〜

痛み

  • 一般的な原因としては、末梢性浮腫、関節炎、糖尿病性神経障害、帯状疱疹後神経痛など
  • NSAIDは、利尿剤やACE阻害剤の作用に拮抗して体液の貯留を促進する一方、糸球体濾過量を減少させて腎機能を低下させるため、一般的に禁忌
  • オピオイドは、有効性、発症の速さ、呼吸困難の緩和の可能性から、侵害受容性疼痛および神経因性疼痛の治療薬として選択される

呼吸困難

  • 中枢神経系の薬剤を再評価/最適化し、可逆的な原因(胸水/心嚢液貯留、不整脈、COPD増悪など)がないか評価する

うつ病

  • 短期の心理療法は軽度から中等度のうつ病に有用であるが、患者の参加と実施体制が問題となる
  • 選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)は、駆出率を維持し、血圧降下作用や不整脈発生作用がなく、薬物相互作用が少ないため、選択すべき抗うつ薬である
  • 特に、セルトラリンは、HF患者に最適な薬剤

予後の不確実さ

心不全の緩和ケアの実践で、臨床家泣かせなのが・・・

WAGI

予後予測、不可逆性の判断がむずかしいんですよね・・・

WAGIの予後予測もよく外れます・・・

そんな予後予測について、FAST FACTsの金言を見つけました!

Accurate prognostication is virtually impossible in HF.
心不全において正確な予後予測は、事実上不可能である

いや〜、めちゃくちゃ気が楽になったのは私だけでしょうか・・・

ただ、それだけで終わるのではなく、

難しいなかでも臨床に活かせる工夫を示してくれています。

心不全の予後予測 不確実な中でできること
  • 年に一度、「心不全の見直し」または「ACPの話し合い」を開始する
  • 心不全による入院(1年後の死亡率が3倍になる)を、内科的治療の最適化や緩和ケアへの橋渡しとして活用する
  • 心不全は予測不可能であるが、通常は終末期であり、心臓突然死の危険性が常に存在することを、患者と家族に知らせる
  • 具体的な治療目標を確認する(例:生活の質と寿命、自宅での生活/死を迎えることと病院での生活)
  • これらの目標を達成するための選択肢を評価する(例:装置治療の開始/処理(いつ、どのように停止させるかを含む)、ホスピス vs 連続した病院/クリティカルケアユニットへの入院)
  • 蘇生法の希望を評価する

まとめ

まだまだ実践の難しさを私自身も感じている、

心不全の緩和ケアですが、引き続き勉強を続けて行きたいですね。

有用な本をいくつか紹介して終わろうと思います。

(アイキャッチ 画像:PACUTASOより引用)