FAST FACTsに聞いてみよう!

FAST FACTsに聞いてみよう! 終末期の糖尿病管理 #258

元々、糖尿病がある患者に死が差し迫った場合、

血糖管理をどのようにするか?って、

臨床の場面ではしばしば遭遇します。

WAGI

そりゃ、糖尿病患者さん、多いですからねぇ

それまで続けていた食事制限やインスリンなどの血糖管理を、

どのように調整するのが適切か、

悩む場面も多いので、FAST FACTsに聞いてみました。

FAST FACTs #258 Diabetes Management at the End-of-Life #258からです。

糖尿病の治療目標

ここはあまり私が説明するまでもなく、

一般的には長期的な血管合併症の予防が糖尿病治療の目標になります。

これにより、網膜症や腎症の予防をしているわけです。

でも、生命予後が短い患者に取っては、

介入によって有益な側面が少なくなってしまいますよね。

では、終末期患者の糖尿病の治療目はどう設定すれば良いのでしょう?

FAST FACTs的には、

WAGI

症候性の低血糖と高血糖を起こさないこと!

と記載されています。

脱水を引き起こすような高血糖や、低血糖を防ぐ、

管理としては緩めの目標になるのですね。

検査はどうする?

糖尿病の検査の代表は血糖とHbA1cがおなじみですね。

ただ、検査を頻回にするのもなかなか負担になりますよね。

検察について記載を引用すると、

数ヶ月の生存が見込まれる患者では、経口摂取が不安定になるにつれて

厳格な血糖コントロールを緩め、HbA1cの測定を停止する

とあります。

確かに、目標が極端な高血糖と低血糖を防ぐということであれば、

ある程度の期間の血糖指標であるHbA1cは測定不要かもしれません。

と言いつつ、正確に予後を予測することも難しいので、

WAGIは経過によっては測定している時もありますけどね。

血糖降下薬の調整

薬剤の使用は食事の摂取状況なども踏まえ、

個別に判断する必要があります。

ただ、

数ヶ月の生存が見込まれる場合の薬剤調整

1型糖尿病:DKAを予防するためにインスリンは継続する

2型糖尿病:経口薬で調整可能ならインスリンの中止も検討

数週間の予後と見込まれる患者

高血糖やDKAの懸念があればインスリン療法を継続する

低血糖リスクを最小限にするため、空腹時血糖を180mg/dL以上に保つ(個別に判断を要する)

多くの2型糖尿病患者は、高血糖や脱水になりやすい場合をのぞいて、看取りの数週前からは血糖降下薬は中止できる

SU剤とメトホルミンは中止が望ましい

全ての症例ではないとしても、やはり血糖降下薬やインスリンの

減量および中止が必要な患者もいることは知っておくべきでしょう。

感情に配慮したコミュニケーション

ここは重要な記載がありました。

これまで行ってきた懸命な糖尿病治療は、より健康的に過ごすために意味深いものとして大切にしている患者と家族も存在する。

そのような文脈での糖尿病治療や検査の中止の提案は、

「少しでも体調をよくしようとする思いを欠いている」ように感じられることがある。

こういった気持ちへの配慮をもった丁寧なコミュニケーションが重要である。

WAGI

医学的な推奨と、ナラティブに配慮したコミュニケーション

どちらも大切なことを忘れちゃダメだよ〜

まとめ

今回は臨床で非常によく遭遇する終末期の糖尿病管理について、

FAST FACTsに聞いてみました。

いつも勉強になりますね。

この辺りの話題は、ポリファーマシーとも絡めて勉強すると良いと思います。

こちらの本もよかったら読んでみましょ〜

(アイキャッチ 画像:PACUTASOより引用)