予後が短い患者さんを担当しているとき、
しばしば悩まされる問題があります。
それは、、、
この薬、いつまで飲んでもらった方がいいのかなぁ
というものです。
我々の担当する患者の多くは高齢者で、
併存疾患があることが通常です。
そうなると・・・
降圧薬や血糖降下薬など、このまま飲み続けるのが良いのか?
という判断に迫られます。
しかも、この辺りのコミュニケーション、
意外と難しいんですよね。
今回は薬の減らし方について、
FAST FACTsに聞いてみました。
からになります。
Deprescribingとは
直訳すると、「脱処方」ですが、
日本語のニュアンスとしては、薬を減らすというほうが伝わりますね。
FAST FACTsでは以下のように説明されています。
患者の生存期間が短くなるにつれて、
慢性疾患の管理に使用される薬剤を中止する
体系的なプロセス
なるほど、すっきり言語化していただけました。
この「〜〜〜なプロセス」というあたりが、
米国っぽいですよね
なぜ終末期には薬をやめるのか?
そもそもなぜ薬をやめないといけないのでしょうか?
それは、 残された時間が短くなるにつれて、
徐々に、薬を続けることの
メリットが少なくなり、デメリットが多くなる傾向があるからですね。
この点、次のように解説されています。
いろいろな薬は内服を継続する期間の中で、
集団として一定割合での予防・治療効果を発揮するのですが、
終末期ではあまりその有効性が発揮できないのです。
さらに、
というデメリットも述べています。
継続する薬と、安全に中止する薬を
きちんと見分ける必要があるのですね
薬をやめることを検討すべき状況
スパッと基準を作って解決!とならないのが、
この分野の難しいところですが、
以下のような点が強調されています。
特に薬物の副作用が疑われる場合には、
生命を脅かす疾患を持つすべての患者
(例えば、1年以内に死亡しても臨床医が驚かないような患者)において、
処方解除を検討すべきである
この1年以内に死亡しても驚かないという点は、
サプライズ・クエスチョンを意識した記載ですね。
処方中止としてしばしば議論になる薬としては、
以下のようなものです。
- アスピリン
- 抗凝固薬
- 降圧薬
- スタチン
- 血糖降下薬
この辺りの薬は処方されている患者さんも多いですからね
薬をやめる障壁
でも、実際に薬を中止するって、
意外と大変なんですよね。
どんな大変さがあるのでしょう。
薬の中止を提案したら、
「治療を辞めるのですか?」と
びっくりさせてしまいました
こんな経験ある方、いらっしゃいますよね。
意外と実践できない、
薬をきちんと辞めるというプラクティスの
障壁はなんなのでしょう?
FAST FACTsで真っ先に出てきたのは次のフレーズでした。
長期にわたる薬に対する心理的な愛着は、
処方中止の大きな障壁となる可能性があります。
特に、患者が予防薬を長期的な健康のために
必要だと考えている場合はなおさらです。
これは患者の立場に立つと、なるほどなぁと思いますよね。
さらに、メッセージ性の強いコメントとして、
やっぱりなかなか難しいですね。
その他にも、
- 薬を中止する対象者の抽出が難しい
- 薬をやめたせいで悪化した場合の訴訟を避けたい
- 薬をやめることへの責任を医師が負う
といった障壁が紹介されています。
まとめ
以上、終末期に薬をやめる大切さと難しさについて、
FAST FACTsに聞いてみました。
この難しい問題にどのように対処すれば良いのでしょうか?
次回、続いて聞いてみたいと思います。
この分野ではやっぱりこの本、オススメですよ。