意思決定能力が低下した患者さんをケアする場面は多いですよね。
高齢者が増えると、さらにその傾向は強くなるでしょう。
明らかに意思決定能力が失われている場合はともかく、
実際には判断が難しい場面も経験します。
というわけで、今回は意思決定能力の評価について、
FAST FACTsに聞いてみました。
FAST FACTs #55 Decision Making Capacityになります。
なぜ意思決定能力の評価が重要か?
インフォームドコンセント(IC)は、
患者が自分で意思決定を行うように支援すべきという、
原則に基づいています。
逆に、意思決定能力がない患者は、
代理意思決定者が必要となります。
米国の多くの州では、
医師(または心理士などの準ずる資格を有する者)が、
患者が意思決定能力を失ったことを文書化することを要求している
そうです。
日本では法的に定まった文書はないですね。
後見人制度を活用するような時などは、
家庭裁判所などの法的な手続きの話が出ます。
評価すべきこと
次の3点を確認する必要がある。
- 情報を受け取ることができるか?
- 情報を評価し検討できるか?
- 治療に対する選好を伝えられる
まずはシンプルにこの3点を抑えるといいですね。
意思決定能力が不十分かも・・・
と感じたら、この3つのどこの能力の問題か意識すると、
議論がしやすいと思います。
より深く評価してみる
もう少し理解するためには、
以下のような点に着目すると良いそうです。
理解
- 提案されていることのリスク、ベネフィット、代替案などの情報を十分できているか?
- 伝えられた情報を復唱できるか?
- どのように感じているか、その理由を説明できるか?
論理
- 決断に至った過程は合理的か
- 精神疾患などにより論理性が障害されていないか?
一貫性
- 質問される度に考えが変わっていないか?
- 患者の話している価値観と一貫しているか?
アセスメントするポイントがよくわかりますね
意思決定能力を評価する際に重要なこと
ここで、なかなか深いコメントを紹介します。
Decision making capacity is contingent
意思決定能力は「偶発的」なもの
(FAST FACTs #55 Decision Making Capacityより抜粋、意訳)
意思決定能力は、状況やその複雑性などによって、
変化するという意味かと思います。
なので、「この患者は意思決定能力がないので・・・」なんて決めつけないで、
その都度評価が必要なのでしょうね。
まとめ
今回は意思決定能力の評価について、
FAST FACTsに聞いてみました。
いや〜、FAST FACTsはいつ読んでも勉強になりますね〜
ちなみに、WAGIが意思決定分野で勉強になった本はこちらです。
看護師向けの本ですが、
わかりやすかったので、そのうちこのブログでも紹介したいと思います。
(アイキャッチ 画像:PACUTASOより引用)