電話で死を伝える難しさを、
FAST FACTsに聞いてみる続きになります。
前回の内容を読んでから読み進めてください。
FAST FACTsに聞いてみよう! #76,77電話で死を伝える その1|緩和ケアに役立つあれやこれ〜緩和ケアの学び方ソムリエが送る耳より情報〜
緩和ケアに限らず、診療をしていると、 という連絡を電話でしないといけない時があります。 WAGIもそこそこの経験を積んだのですが、 それでもやっぱり緊張しますね。 特に夜間の対応で主治医の代わりに連絡する場合や、 救急の現場で突然の死別をお伝えする場合など・・・ なかなかプレッシャーのかかる コミュニケーションになります 先日、夜間対応をしていたときに、久々にこういった連絡をしたのですが、 適切に対応するためのポイントなどあるのでしょうか? 今回はそんな「電話で死を伝える」ことについて、 FAST FACTsに聞いてみました。 FAST FACTs #76 Telephone Notification of Death Part 1 FAST FACTs #77 Telephone Notification of Death Part 2 からです。 まずは問題提起として、以下の記述に着目してみましょう。 訃報を家族に電話で伝えることは、最も困難でストレスの多いコミュニケーションの一つ 特に家族と直接の接点を持ったことのない職員にとって負担が大きい 様々な予測できない要因が関わり、対面と同じ質での対話は難しい おっしゃるとおりですね。 米国でも同様に難しく感じられるようです。 では、実践する上で重要なポイントを順に見ていきましょう! 何事も準備は大切です。 若手医師を指導していて、時々ですが、 どうしていいかわからないので、 とにかく早く電話してみよう みたいになることがあるんですが、 可能な範囲では準備したほうが無難です。 死亡確認の手順を確認する 亡くなっていることを確認する 患者の背景情報(氏名など)を確認する 電話を掛ける家族の氏名や住所、電話番号を確認し、カルテや看護師などから亡くなった患者との関係を確認する 死亡した状況を確認し(予見されたものか、突然のものか)、必要な情報を書き出し、話す内容を十分に検討する 電話ができる静かな環境を準備する 当たり前といえば、当たり前ですが、 丁寧に取り組みたいところですね。 タイミングも大切ですね。 しっかり準備することは大切ですが、 悪い知らせこそ早めに・・・ というのも大切です。 死を伝える電話は、死亡後できるだけ早めにお伝えする必要がある。 可能であれば、亡くなる前に重大な出来事が起こったことを家族に伝える。 という記載になってました。 コロナ禍で入院中は面会が難しい医療機関も多いと思いますが、 だからこそ重要なポイントですね。 ちょっと長いですが、以下、参考にしてみましょう。 セリフなんで、意訳してますので、正確に知りたい方は原著にあたってみてください。 自分の名前を名乗り、、 話し相手の身元と患者との関係を尋ねる。 患者に最も近い人(理想的には医療代理人またはカルテに記載されている連絡先)と話すように依頼してください。 話し相手の身元を確認するまでは、直接的な質問には答えないようにする。 連絡先担当者が一人でいるかどうかを尋ねてください。 未成年の子供に対して伝えないようにする。 相手と面識がない場合、患者の状態について知っているか尋ねる。例)医師は _ の状態についてどのように話していましたか? 警告の言葉をかける。例)悪いお知らせがあります。I’m sorry, _ has just died.
FAST FACTs #76 Telephone Notification of Death Part 1
FAST FACTs #77 Telephone Notification of Death Part 2
からです。
それでは行ってみましょう!
「すぐに伝える?」VS「来院後に伝える?」
そんなの、すぐに伝えた方が良いに決まっとるやろ!
って思いますかね。
でも一方で、
もしかしたら、突然の電話で死を伝えられることって、
めちゃくちゃ侵襲的なんじゃ・・・
だったらまずは来院してもらってから、
きちんとお伝えしなくて良いのかな?
こんな懸念もありますよね。
電話でどこまで伝えるか?を考えるアセスメント事項
FAST FACTsではこのジレンマに対して、以下のように示されています。
- 死が予期されていたかどうか
- 連絡する医療者が患者および家族をどの程度知っているか
- 連絡先の家族と患者さんとの関係
- 事前の情報に基づく、連絡先の家族の予想される感情的反応
- 情報を受け取るときに連絡先の家族が一人でいるかどうか
- 連絡先の家族の理解度
- 距離、移動手段の有無、時間帯
たしかに、私もこう言ったことは時間の許す範囲で情報収集して、
その状況に最適な伝え方を検討している気がします。
具体例
FAST FACTsでは理解を促すために、具体的なシチュエーションが提示されていました。
確かにそうですよね。
こう言った、心構えが共有されている状況では、
家族が付き添っておられなかった場合は、
私もお電話で伝えることも多いです。
そうですよね。
心構えがない中での死の知らせなので、
よりサポートできる中でお伝えするべきだと思います。
私も様々な事情で電話でお伝えしないとならなかったことがあり、
電話口で泣き崩れる様子が伝わってきたときなど、
いたたまれない気持ちになった経験を思い出しました。
まとめ
非常に議論のあるところの話題だと思います。
次回、今回のトピックの最終回です。
この辺りのコミュニケーションの対比などは、
こちらの本も勉強になりますので、
めちゃくちゃオススメです!