アドバンス・ケア・プランニング(以下、ACP)の本も増えましたね〜。
私が緩和ケアの仕事を始めて、血気盛んだった頃(今もか)、
ACPの普及啓発のイベントを市民向けに開催したのですが、
当時は全く知られていませんでした。
いまは緩和ケア医だけでなく、非がん疾患も含めた多くの分野で
ACPに関する議論が広がっています。時代も変わったものだ〜。
ACPの定義は、次の通り
意思決定能力をもつ個人がそれぞれの価値観を同定し、
重篤な疾患の意味や結果を思案し、
将来の治療やケアの目標や意向を明確にし、
家族や医療従事者と話し合うことを可能にするもの
う〜ん、、、分かったような分からんような、、、
と思ってしまうような抽象度の高いACPの議論。
特に具体的に何をすればACPなのかがよく分からないんですよね。
大切なのはわかるんですが。。。
なんて思ってしまいます。
どんな本?
ぼやっと、もやっとしやすいACPの議論。
臨床場面や立場の違いで、必要とされる具体的な行動やコンセプトが
異なることがその理由の一つかと思います。
そんな幅広いACPを、まるっと!捉えるのに最適な本です。
この本は、以下の章で構成されています。
- 第1章 患者さんが考えるACP
- 第2章 ACP総論
- 第3章 がんのフェーズごとのACP
- 第4章 がんとどこが違う?非がんのACP
- 第5章 ライフステージの視点から考えるACP
- 第6章 多職種の視点から考えるACP
どんな人にお勧め?
ACPの概念と大切さは理解したけど、もうちょっと突っ込んで勉強したい方には
非常に良い本です。
実臨床では個別性が高く、どうしても総論的な話に終始しがちですが、
この本は自分のよく遭遇する臨床シーンや患者像にぴったり合うACPが見つかると思います。
勉強になったことは?
この本で最も特筆すべきは第1章でしょう。
「患者さんが考えるACP」
どのようにACPに取り組むかを一生懸命考えるのも大切ですが、
患者さんに取ってACPがどのように捉えられているか?
この視点を忘れてしまっていないでしょうか。
この1章を読むためだけでも、手にとっていただきたい本です。
私自身も忘れられない、患者さんの言葉が散りばめられています。
あえてここで紹介はせず、皆様が実際にこの本を読んで、感じたことと向き合ってもらいたいですね。
編集長の独断評価(5段階)
- 初心者向け:★★★★☆
- 臨床向け :★★★★☆
- 研究向け :★★★☆☆
- 教養度 :★★★★☆
- コスパ :★★★☆☆
まとめ
ACPの実践を深く学ぶ上では非常に良い本かと思います。
編集をされた宇井先生とは、初期研修医時代からのお付き合いです。
深い洞察に基づいた、本当にすごい仕事をされていますね。
同学年として非常に刺激をうける存在である、宇井先生の本を紹介できることを誇りに思います。
